私の回りでナイフを持っている人(ハンター以外)にどんなナイフを使っているかと聞くと ビクトリノックスのスイスアーミーナイフ(SwissArmyKnife,SAKと呼ばれています)が一番多くて その次にオピネルやダイワ、シマノのフィッシングナイフで何れも小型のナイフです。
これらのナイフ 登山、キャンプや渓流釣りに持って行くが たまにしか使っていない人がほとんで ナイフの稼働率が低く 研いでも包丁研ぎ器程度(タッチアップ程度)、 研いだことが無い という状態の人が多いです。
とは 言っても ナイフは何時かは 切れなくなるので キチントと研ぐ必要が有ります。
今回はスイスアーミーナイフ(SAK)やオピネル等の『小型のナイフ』を持っているが ナイフの稼働率が低く 『研ぎには金は掛けたくない(1コイン(500円)以下)』
『通常の平砥石で研ぐのが得意でない(技術習得する気無し・過去チャレンジしたが諦めた)』 『ナイフ初心者向け』の内容です、
【100円均一で入手出来るクリップとダイヤモンド砥石によるスイスアーミーナイフのナイフ研ぎ】の紹介です。
最初に言っておきますが 今回紹介する方法のみで研いだ場合 確実に研げますが 普段の使用では特に問題ならない程度しか研げません、 コピー用紙が短冊状にスパスパ切れません。
また ナイフのブレードとエッジの用語については 私の過去ブログ参照: 『ナイフのブレイド_ジオメトリーとエッジ_ジオメトリー』の超基本
スイスアーミーナイフを研ぐ『オススメ動画』
ビクトリノックス社が公開している情報です。
Victorinox AG スイスアーミーナイフの研ぎ方動画 (映像のみ): How you sharpen your Swiss Army Knife
まずはこの42秒の動画を見て下さい。
小型のダイヤモンド砥石、もしくは 小型のセラミック砥石を 固定して ナイフのエッジ全体を1回(一筆研ぎ)で研いでいます、かつ左右刃面を1回毎に、研ぎ角は20度です。
タッチアップとして数回程度なら この方法であまり問題なく出来ますが、
切れなくなったナイフを復活させるには かなりの回数(片側10回以上)行う必要が有り研ぎ角を一定に保持することが必須です。
そうしないと丸刃になって かえって研ぐ前より切れなくなります。
小型ナイフの研ぎ角固定具
ナイフを研ぐための 【一番のポイントは 研ぎ角度を一定にする】 ことです。
ナイフの研ぎ角を一定にして研ぐ機器はいくつか有ります、ランスキー_シャープナー(5k円程度)やスパイダルコ_トライアングルシャープメーカ(9k円程度)、 エッジプロ(30k円程度)が その代表的な物ですが価格が高いです。
今回 私が紹介する方法は 包丁研ぎの角度固定ホルダーからヒントを得た 【小型ナイフ用の研ぎ角度固定具】 で、100円均一で買えます。
それは クリップ(ペーパクリップ、ダブルクリップ等)を使って研ぎ角を固定する方法です。
いろいろ有るクリップのなかで スイスアーミーナイフにピッタリで使い易いのは 【ペーパクリップ】(+それをはめるクリップスライダー) です。
注):このタイプのクリップ 100円均一以外では 『オート』(ここがオリジナル)、『コクヨ』、『MAX』から同様な物があります、
『ガチャ玉』、『ワニクリップ』『マックスクリップ』と呼ばれていて サイズもいろいろ有ります。
このクリップをナイフのスパイン側(背側)に取り付けて研ぎ角度を固定します。
勿論 ダブルクリップでも使えます これもいろいろなサイズが有ります、これを使用する場合 取り付け後 レバーを外します。
研ぐための準備
ナイフはビクトリノックスのスイスアーミーナイフ(SAK) 「ソルジャーCV_AL」(知人から貰った物です)です ブレード長70mm ブレード幅13mm 。
手順
・ブレードのスパイン側(背側)にクリップスライダーを使ってクリップを3個装着
・ブレードのスパインとクリップの間に爪楊枝を1本差し込む、理由は後述
・頂角は40度⇒研ぎ角は20度
ビクトリノックスは ナイフの研ぎ角は15度から20度を推奨していますので 研ぎ角を20度にするためクリップとナイフのスパインの間に爪楊枝を入れて角度を調整しています。
・油性マジックで研ぐ部分(セカンダリーベベル部)にマークを付ける
研いだ部分を確認するためにマークする
ステンレスブレードにはダイヤモンド砥石がオススメ
ステンレススチールは クロムが10.5%以上(ISO、ナイフ材の場合は13%以上)含まれていて材料特性上 カーボンスチールに比べ 研ぎ性が悪いです(カーボンスチールより柔らかいステンレススチールの場合でも同様)。
スイスアーミーナイフのブレードはステンレススチールです、このため砥石は 通常の砥石より研削力の高いダイヤモンド砥石をオススメします。
尚 オピネルのブレードはカーボンスチールとステンレススチールが有ります。
100円均一でダイヤモンド砥石は入手できますが、#230等の番手が小さい物(粗砥石)しか有りません、この砥石のみでも簡易研ぎなら問題有りません。
ポイントは 荒砥石でキチント刃付けすれば 通常の使用上特に問題有りません。 また その後仕上げ砥石を使用する場合 良い仕上げ刃が付きます。
研ぎ方
先の動画は砥石を固定しナイフを動かしていましたが 砥石がナイフに対して小型の場合 ナイフを固定し砥石を動かす方法も有ります。
私の場合は後者でやっています。
以下の画像は 砥石をナイフのクリップに当てながら エッジファースト(ナイフが砥石に対してナイフのエッジが先行)で
砥石を長さ方向に動かしながら ナイフエッジの根元から先端まで1回で研ぎます(一筆研ぎ)。(砥石の先端側がナイフの根元側~砥石の後端側がナイフの先端側)
この際の注意点は クリップをスパイン方向に当てながら研いでいるのでクリップが動かないようにすること。
これを右刃面側5回 左刃面側5回 その後 右側3回 左側3回 、右側2回 左側2回 、右側1回、左側1回、最後に右側を軽く1回、ナイフの研ぎ具合を見ながら回数を調整する。
ポイント は 『バリ量をできるだけ左右刃面 均等量にすること』、 『セカンダリーベベルの幅を一定とすること』
(ナイフのベリー部(曲線部)のセカンダリーベベル幅を調整する際はクリップの角度と位置を調整為てください)。
エッジファーストで研ぐがスパインファーストで研ぐかは どちらでも 良いです。
エッジ_ファースト :研ぎ量が多く バリ量が少ない ⇒ ナイフでは一般的
スパイン_ファースト:研ぎ量が少なく バリ量が多い ⇒ 研ぐ際に指を怪我しにくい(エッジ付近を指で押さえている場合)、クリップがついている場合クリップが動かず やりやすい
注)クリップを何回か使用すると砥石で削られるので交換して下さい(使ったクリップにマーキングしておくことをオススメします)。
バリ取り(ストロップ)
新聞紙2枚を木製テーブルに置き ナイフを研ぎ角度より少し低い角度 スパインファースト ナイフを強く新聞紙に押しつけながら ブレードのエッジ全体を1回でバリ取り(ストロップ)する。
これを右刃面1回 左刃面1回を1セットとして バリの状況を確認しながら繰り返す 100円均一のダイヤモンド砥石は#230と粗いので 最低10セット実施する。
これで 通常の使用では問題無く使えるナイフになります。
オピネルナイフの場合
オピネルのNo8 (カーボンスチールブレード)の場合です。
オピネルは 研ぎ角度は20度を推奨しています。
上記と同じクリップを使用した場合
頂角は29度 研ぎ角度は14.5度
これで研ぐと切れ味は多少向上しますが 刃持ちは多少悪くなります。
20mmダブルクリップを使用した場合
頂角は46度 研ぎ角は23度
ダブルクリップも何種類もあるので 単純に比較できませんが 上記のクリップの方が保持力が有り ダブルクリップはレバー取り付け部に隙間が有るため 上記のクリップの方が研ぎやすい。
最後に
ナイフ用の研ぎ角度固定具にクリップを使用することを紹介しましたが クリップの種類も多く ナイフのサイズもいろいろあるので 目指す研ぎ角に合わせてトライアンドエラーでやって下さい、但し くれぐれも怪我に注意! 自己責任でお願いします。
今回はナイフ初心者向けに100円均一のダイヤモンド荒砥石(#230)のみ使用したナイフ研ぎを紹介しましたが、
既に#1000程度の砥石やサンドペーパーを持っている人は ナイフにクリップをつけて仕上げ研ぎにチャレンジしてほしい 研ぎ角度が一定になるので簡単に研げ 砥石の番手が上がる(細かくなる)ので切れ味が向上します。
この際のポイントは ナイフは砥石に対して角度を付ける45度程度(0度にすると丸刃になりやすい)、スパインファースト、ナイフのベリー部(曲線部)を研ぐ際は少しハンドルを持ち上げる、
ナイフエッジの根元から先端まで1回で研ぐ(一筆研ぎ)、クリップがズレていないかチェックしながら研ぐ バリ量を左右均等にし 最後に新聞紙ストロップです。
また ナイフのストロップについては 私の過去ブログ参照: ストロップの超基本
注)ナイフを趣味にしたい人に対して あくまで 私のオススメは平砥石(ベンチストーン)を使った研ぎです。
砥石はシャプトン刃の黒幕 (#120⇒)#320⇒#1000⇒#2000⇒#5000+レザーストロップ+面直し用ダイヤモンド砥石です、これだとコピー用紙は抵抗感が少なくスパスパと短冊に切れますし いろいろなグラインドにすることも出来ます、
但し それなりの出費と研ぎのテクニック習得のための練習が必要です。
以下 Amazon.co.jp 広告
・
・
・
・
・
コメント