平日は在宅勤務でPCとスマホを使って資料作成とteams会議ばかり、休日は買い物以外出かけない 完全巣ごもり状態の今日この頃、
今回は昨年2019年5月2日の「PCPエアーライフル備忘録:【エアアームズS510のOリング交換】:3年使用後の分解・メンテナンス」の続編(その2版)です。
今回 AIRARMS S510 (5.5mm) を分解・メンテナンスした目的は以下です。
①空撃ち(ドライファイヤー)以外のエア抜き(Degas)方法の確認
・エアアームズ社推奨方法(メールコネクターから) と ファイヤーバルブから
②フィリングバルブボディの取外し方法を少し改良
③ファイヤーバルブシール(S610H)、パワーアジャスターOリング(S519)、圧力計(S645)の交換
➃1年使用でネジの緩みを確認し緩み止め処理(ロックタイト、グリース使用)
⑤昨年撮影するの忘れていたところを記録用に撮影。
これはあくまで 私の備忘録です【本内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので ご了承下さい】。
エア抜き
空撃ちがエア抜きで最も安全な方法です、しかし時間が掛かります。
エアアームズ推奨
Air Arms TV :「Air Arms D.I.Y: How To Replace The Gauge On A S400 Or S500 Air Rifle」
この映像はS400,S500(S410,510の単発仕様銃)の圧力計の交換方法の紹介です、
交換する前のエアー抜き方法について 3種類 エアーアームズ社が説明・紹介しています。
1.一つ目は『フロント側のメールコネクターを10mmスパナで緩める方法』
→ S400~510では最も一般的な方法
今回やってみた
モンキーを使用
二面幅は10mm 厚みが薄いのでナメないように注意し ゆっくり少しずつ緩める
エア抜き後にポップした0リング S474(11.89-1.98_AS568-906D)1個を交換しフィルター部のゴミを取った。
2.二つ目は『空撃ちする方法』
→ 昨年紹介した最も安全な方法
今回 やってはいない
3.三つ目は『圧力計を22mmのソケットで緩める方法』
→ 他のエアライフルでは一般的な方法
今回 やってはいない
注意点としては この圧力計は圧力計本体を回して取り付け・外しができるが、通常の圧力計は 本体を回してはいけません 取り付けネジ上部の二面幅を回す構造になっています。
【メールコネクター、圧力計を緩めてエア抜き方法の注意点】
・最初にスコープ(マウント位置にマスキングテープを貼っておく)とストックを外す
・安全のため保護めがね着用(映像では着用していませんが)しメールコネクター、圧力計の取り付けネジ方向には自分の体を置かない(これらが吹っ飛んで来た時のために)
・バイスに固定した方がやりやすいです。
・とにかく ちょっとずつ緩めて エアーがモレ始めたら止めて エアーが止めるまで待つ(音がしなくなるまで)、それからまた ちょっと緩めるを繰り返して エアーを完全に排出させる。
・最後に必ず圧力計の目盛り0を確認する。
・これらの方法の欠点は0-リングの一部(エアーが抜けている部位)が激しく振動しミゾから浮かび上がったり(ポップする)極端な場合ミゾからはみ出るため O-リングが損傷する場合が有ります、線径が細い程このリスクが高まります。
→ 基本 この部位の Oーリングは交換する。
ファイヤーバルブからエア抜き
海外のエアライフルサイトで紹介されていた方法です、
『ファイヤーバルブを開放してエア抜きするのが一番理にかなっていて空撃ちの次に安全な方法』と思います、
一部のエアライフルには この方法の専用ツール(Degassing tool)が準備・販売されています。
この方法はPCPエアライフルに規定圧以上のエアを充填した時に規定圧以下にする時 とか 左記のため ファイヤーバルブがロックしてしまった時の解除 にも使用できます。
今回 専用治具では無く 汎用品を使ってファイヤーバルブを開放してエア抜きしてみました。
(最初にメールコネクターを緩めて50bar程度エア抜きした後に この方法で完全にエア抜きしました)
必要な物はボルト用の6角セミディープタイプのソケットとワッシャでいずれも汎用品です、私が使用したのは
ソケットは「二面幅17mm 長さ54mm 取付け□9.5mm」、「ワッシャーは厚さ2.2mmと1.6mmの2枚、1枚は内径6mm」⇒合計の長さは57.8mm。
必要な物はソケットとワッシャーです。
ファイヤバルブボディからストライカーボディ(+トリガーユニット)を5mm6角で外します。
シリンダー(チューブ)内は高圧のままですファイヤーバルブピンを押せばエアーがバルブボディ上面から排出されます。
(シリンダー側から高圧がかかっているので指程度では押せません)
ストライカーボディーから3mm6角でストライカー(ハンマー)を外します。
以下 シリンダーをバイスに固定した方がやりやすい。
①ストライカー②ソケット③ワッシャー2枚を順番に「ストライカーロッド」に挿入し 最後にスクリューを入れて「5mm6角」で非常にゆっくりと少しずつ締めるとファイヤーバルブピンが押されて エアーがファイヤーバルブボディ上面の穴(トランスファーポート側)から排出されます。
この方法は操作を誤っても部品が吹っ飛んでいくことはありません。
最後に必ず圧力計の目盛り0を確認する。
この後 ファイヤーバルブボディを外して シリンダーの内部を確認しましたが 錆の発生は有りません。ヒルポンプ(Hill Pump mk4)のdry pacシステム(水分90%除去)は十分機能しているようです。
(ピンボケですが)
ヒルポンプについては 私の過去ブログ「ハンドポンプ【HILL PUMP(ヒルポンプ) MK4】を選んだ理由」を参照。
フィリングバルブボディの取外し
S510の分解でシリンダーの先端に付いているフィリングバルブボディを外すのが最もたいへんです、前回は非常に苦労しました。
今回は2回目なので難なく外れました、前回より外す方法を少し改良しました。
取り外し方法:
・シリンダーとフィリングバルブボディーのつなぎ目付近をヒートガン(ドライヤー)で暖める(今回は使用せず)
・ネジ部にテープを巻く
・シリンダーをバイスに固定 +スベリ止めシート使用
・ロングローズプライヤーの先端をフィルバルブボディの2個の穴に差し込む
・モンキーでロングノーズプライヤーをつかんで緩める
今回 少し改良した点は下記です。
『前回(165mm)より長くて 細いロングノーズプライヤー 200mm、ノーズ先端部が幅2.5mm(片側)を準備+ワイドゴムバンド(#210)』 と 『165mmの木工バイス+滑り止めシート』を使用しました。
フィルバルブボディの穴は「Φ3mmちょい」 しか有りません
プライヤーのノーズを穴に挿入後にゴムバンド(#210)でプライヤーを閉じた状態にし でモンキーで掴み回して外します。
右利きの場合:左手でプライヤーをフィルバルブボディー側に押して右手でモンキーを回す(うまくプライヤーをモンキーで掴めれば右手だけで回せます)。
ベンチバイスが理想ですが 木工バイス(165mm)でもOKです、これが有れば楽に作業出来ます。但し滑り止めのシートが無いとシリンダーが回転してしまいます。
安物(0.3k円)のヒンジピンレンチでやってみましたが ネジ部が干渉して使えませんでした(干渉部を削れば使えると思います)
その他 海外のサイトで2種類の方法が紹介されています
①90°ベントノーズ(先曲り)ロングノーズプライヤーを使う方法(工具店で先端部の寸法の確認が必要もしくは多少削って使用)
②S400~510専用の工具(Fill Valve Tool)が有ります(エアアームズ社も専用工具で組立てしています)。
(xtxair.comより£12.5(約¥1.7k))
この製品以外に数種類が販売されています。
フィリングバルブボディを外した後 シリンダー内を確認しましたが錆の発生が有りません、またシリンダー内のフィリングバルブボディ側にパーツリストに無い「白いプラスチックの敷居板(中心部に穴)」が入っています。
部品交換
Oーリングサイズは
昨年2019年5月2日の「PCPエアーライフル備忘録:【エアアームズS510のOリング交換】:3年使用後の分解・メンテナンス」を参照。
ファイヤーバルブシール
ボルトハウスとファイヤーバルブボディの間にある「ファイヤーバルブシール」品番S610H Φ9.8-Φ5.5-1.4mm(白色)はどうもテフロンシールのようです、
テフロン(PTFE)を使っている理由は 一般的なゴム(NBR)に有害なオイル等を使用してバレルメンテナンスを行った際にシールの損傷防止 及びテフロン(PTFE)はNBRよりエアーのシール性が高いため と考えられます。
このシール 昔のエアアームズの部品リストだとNBR70の6-1サイズのOリングとなっています、不具合が有ったため変更したようです、それにしても線径1mmは細すぎと思います、現状のシールは厚さ1.4mm 新品だともう少し厚いと考えられます。
注)レギュレータ無しのS400、S410、S500,S510の機関部は共通です、
レギュレータ付きのS510XS等はベースは同じですがストライカー(ハンマー)、メイン(ハンマー)スプリング、Oリングの硬さを70→90へアップ、バックアップリングを追加してシール方法を強化 等々異なります。
市販品でテフロンシールを捜しましたが(S610HはG1/4サイズと微妙に異なる) ちょうど合う物が無かったので フッソゴム(FKM)のOーリング 6.5-1.5 (4DS7) に交換しました。
再組立て時はボルトハウス側に取り付ける
パワーアジャスターOリング
昨年 交換し忘れたOリング(品番S519)を交換しました(特に傷んでいませんでしたが)、
サイズは2.5×1.5 2個、 フッソゴム製の4DS3 に交換。
パワーアジャスターを取り外す方法は
・ハンマーバルブボディの下から1.5mm6角で「M3×4の止ネジ_とがり先」を取り外し
・上側からアジャスターのミゾの隙間からニードルでピン(φ2.4×6.3mm)を下に押す
・パワーアジャスターの抜く
・上側からピンを押してスプリング(φ2.5×4.5mm)とピンを取り出す
・Oリングを交換して再組
圧力計
私が所持するもう一丁のエアライフル FXクラウンの圧力計があまりに不正確で応答性が悪いので 圧力計を輸入申請して個人輸入しました、
その際にS510にも装着可能な物も 同時に申請・輸入しましたので今回交換(現状品番S645)しました。
交換した理由は圧力の目盛りが10bar毎に有る圧力計にしたかったため。
圧力計のネジサイズはBSP1/8(ストレートネジ)で O-リング(7.65-1.78 or 7.8-1.9)はネジ元(圧力計側)に装着します。
それからゲージマウントブロックに取り付けます。
ストックボルト
ストックボルトのネジ部が少し傷んでいたのでステンレス製のキャップボルト(6角穴付きボルト)に交換しました。
ホームセンターで売っている汎用品です、サイズはM6✕40mm。
注記)ステンレスボルトは錆びにくいですが軟らかいので緩みやすいかも知れません、今後レポします。⇒緩みやすいです。
⇒ SCM435材 強度区分12.9((引っ張り強さ=1200N/mm2)日本ファスナー製(刻印=NF)に再変更しました。
その他のボルトサイズ
6角穴付きボルト(キャップボルト)
・ストライカーハウジング固定 ⇒ 強度区分12.9(引っ張り強さ=1200N/mm2)のボルトが良い
注記)15mmでは無く16mmを使用しています、
M3×16mm 1本 (2.5mm6角)
M4×16mm 1本 (3mm6角)
・ハンマーバルブボディ固定 ⇒ 強度区分12.9(引っ張り強さ=1200N/mm2)のボルトが良い
注記)15mmでは無く16mmを使用しています、
M3×16mm 4本 (2.5mm6角)
・ハンマースプリング固定 ⇒ 強度区分12.9(引っ張り強さ=1200N/mm2)のボルトが良い
M6×12mm 1本 (5mm6角)
・トリガーガード固定
M4×25mm 1本 (3mm6角)
M4×12mm 1本 (3mm6角)
6角穴付き_止ネジ_平先
・バレル(フロント)クランプ
M4×4mm(6mmでもok) 2本 (2mm6角)
注記)エアーアムズが使っている6角穴付きボルト(キャップボルト)は台湾の「YFS」社製です。
ネジの緩み止め
ネジ部の緩み防止方法にはいろいろ有りますが その代表的な2種類を3カ所に使用して再組立。
ロックタイトを塗布
ネジの緩み止め剤としては最も有名な物が「ロックタイト」という商品名で販売されている「嫌気性接着剤(空気が遮断されると硬化する接着剤)」です。
今回分解した部位で元々ロックタイトが塗ってあったのは2カ所です(トリガーユニット除く)、昨年の再組立て時にはロックタイトを使用しませんでした。
今回バラして確認したところ 特に緩んでいませんでしたが 再組立時に「ロックタイト222」を使用しました(今後毎年分解する予定は無いので)。
ロックタイトの種類は非常に多いですが ネジ用で入手性の良いのは下記3種類です、
(ロックタイトの総合カタログより抜粋)
no :色:強度タイプ:ネジサイズ:使用温度
222:紫:低強度タイプ:M12以下 :-50~150℃
243:青:中強度タイプ:M6~M20 :-50~180℃
263:赤:高強度タイプ:M25以下 :-50~180℃
今回私が使用したのは「222」です、これは低強度タイプとなっていますが この表現は紛らわしいと思います、
222と243はネジサイズで区分すべきで 小ねじ用(M5以下)が「222」、M6~M20用が「243」 と表記すべきと思います。
ほとんど取り外す必要がない場合は 高強度タイプの「263」を使用しますが ライターやハンダゴテで少し加熱すれば取り外すことはできます。
「222」を使用した部位 2カ所
1.ファイヤーバルブボディにポット(ファイヤーバルブスプリングを固定+エアの整流器)を固定するスクリュー(M3×4_6角穴付き止ネジ_とがり先)
2.ストライカー(ハンマー)ガイドのスクリュー
注)ロックタイトを塗布する際の注意点:
取り外したスクリュー(ボルト)はブラス製ワイヤーブラシでネジ部のゴミ・汚れ等を取り除き、さらにパーツクリーナーで油分を除去してからロックタイトを塗布すること
グリース(オイル)を塗布
ネジ部にグリースやオイルを塗って締め付けると ネジ部の摩擦力が減って「高い軸力を安定して掛けることができます」 これにより緩み止めになります。
この方法をとっているのは「シリンダーのマズル側」と「フィリングバルブボディ」との結合部です、
ロックタイトを使用せずに非常に強く締め付けられているのはこのため。
再組時ネジ部にシリコングリースをたっぷり付けて締め付けました。
この部分が ロックタイトを使用せずに非常に強く締め付けられているのは
フィリングバルブボディにメールコネクターが付いていて エア抜き時にメールコネクターを緩める方法を取った際 フィリングバルブボディが緩むのを避けるため、
及び シリンダー内の掃除(錆び落し)が必要な際に分解できるようにしておく ためと考えられます。
(シリンダーの反対側 ファイヤーバルブボディは こんなに強く締め付けられていません)
エアー再充填・モレの確認
・再組が完了後
・エアライフルの安全装置ON
・コッキングする(シリンダー内に高圧エアが無いとファイヤバルブが開いたままになっているためエアが充填出来ない)
・エアを50barまで充填し
・エア漏れの確認 2H後に再確認し
・150~160barまで充填し デコッキングする
・圧力計にマスキングテープを針がギリギリ隠れる位置に貼る(エア漏れしたら針が見えてくる)
・2日後に漏れていなければOK(4日目に確認したが漏れ無し)
最後に
前回の分解から1年 特にO-リングの劣化、ネジの緩みは有りませんでした、今後は何か不具合は発生しない限り 3~5年間は分解しない予定です、過度の分解や注油はかえってエアライフルの劣化につながるからです。
また 予備のOリング、メイン(ハンマー)スプリング 等々も持っているので エアアームズS510(5.5mm)の大抵の修理・メンテは自分で即できる体制となりました。
繰り返しになりますが これはあくまで 私の備忘録です【本内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので ご了承下さい】。
また これは 昨年2019年5月2日の「PCPエアーライフル備忘録:【エアアームズS510のOリング交換】:3年使用後の分解・メンテナンス」
の続編(その2)です。
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2月にスコープの件で質問させていただきました。
丁寧な返答を頂きまして有難うございました。
その後EBAYでVortex Diamondback Tactical 6-24✕50 FFP
を購入しました。
銃はFXクラウンラミネートを購入し現在申請中です。
コロナ感染の影響で許可関係にも時間を要しているようです。
また射撃場もライフルなどの施設は閉鎖されているようです。
これからどのように推移して行くのか不明でですが
出来ることから対応して行くしかないと思っています。
今回の銃のメンテの話は参考になります。
メンテの方法を想定し
部品構成という中身を理解して使用することが
事故や故障の回避になるとおもいます。
有難うございます。
ソウさん
コメントありがとうございます。
エアアームズS510は非常にシンプルで剛性のある構造で信頼性の高いエアライフルと思います。
FXクラウンの信頼性は現時点なんとも言えませんが 昨年分解してみて感じたのは「きゃしゃ」・「部品点数」が多くてエアライン系の信頼性はS510より低いと思います、
ただ命中精度の高いSTXバレル、ユーザーでいろいろ調整できる機構はS510より良いです。クラウンの分解・メンテについても今後書く予定です。