FX_Airguns のバレル(銃身)はワルサー(LW)⇒スムーズ_ツイスト(ST)⇒スムース_ツイストX(STX) と変遷しています、LWバレルはドイツ製ですが
ST及びSTXバレルはFX社が独自に開発し 内製となっています。
今回は命中精度が高いと評判のFXのSTXバレル・最適なペレットについて 海外で公開されている情報と私見をまとめた備忘録です。
STXバレル
Smooth Twist X Barrel
ジオメトリー
スムースツイスト(以下ST)バレルがバレル先端部50mm程のみライフリング+チョーク付であったのに対し スムーズツイストX(以下STX)バレルは5角ポリゴン+フルライフリング+チョーク付となっています。
ライフリングプロファイルは5角ポリゴン、バレルライナー外径に5本のプレス跡が付いています。
FXが公開しているSTXバレルのジオメトリー(諸元)資料、プラス 標準LWバレルのツイストレートを比較してみました。
(ワルサー(LW)バレルは10本単位で特殊仕様に対応可能とのこと、但しコストは大幅↗)
尚 ワルサーバレル(スタンダードプロファイルライフリング)のジオメトリーについては私の過去ブログ「バレルジオメトリー」を参照。
STXバレルは口径が4.5~7.62mmの4種、バレル区分(ペレットライナーA,B、スラッグライナーA)が3種、長さが380~700mmの4種、2020年2月時点 27種類が製造・販売されています。
FXは口径毎にペレットを決めて、
STXバレルライナーのジオメトリー(幾何学上の寸法・諸元:長さ、ツイストレート、内径寸法)をトライアル&エラーで決定している ようです、詳細は下表参照。
STXバレルの銃には通常『Pellet Liner A』のバレルライナーが装着されています、
このペレットライナーA(Pellet Liner A)のツイストレートは 標準ワルサー(LW)のスタンダードバレル、6角ポリゴンバレルに比べ長いです、また口径が大きくなると長くなります。
ボートテイル型のスラッグを使用するスラッグライナーA(Slug Liner A)はペレットライナーAよりツイストレートは短いです。
最適ペレット
次に ライナー毎に適しているペレットは下表です。
FXのエアライフルは基本『JSBペレットの使用を前提』に作られています。
FXのプレミアム_ペレットはJSBが製造していますので 「同じ」 と読み取って下さい(価格が異なるので品質管理は多少異なるかも?)、
例えば 5.5mm : FX_Premium_16gr=JSB_Diabolo_Exact_Jumbo_15.89gr です。
Nielsen_Specialty_Ammo(NSA)のSlug(スラッグ)についてはホームページ参照:https://nielsenspecialtyammo.com/
(N.S.A.のホームページより)
FXが最近 販売開始したハイブリッドスラッグ(Hybrid Slug、形状はスラッグでBC値が高いが軽量) は スラッグライナーでは無くペレットライナーで性能が発揮できます。
https://www.pyramydair.com/s/p/FX_Hybrid_Slug_22_Cal_22_0_Grains_Hollowpoint_100ct/1542
(ピラミッドエアーのホームページより)
フリーフローティングバレル
STXバレルのFX銃の命中精度が高いのはSTXバレルライナーのジオメトリ&精度だけでは無く バレルが機関部(ブリーチブロック)のみに固定されている『フリーフローティングバレル(Free Floating Barrel)構造』も有ります。
私の所持しているクラウンのバレルは下記の構造となっています。
(FXのホームページのパーツリストより)
STXバレルライナー + バレルハウジング+シュラウド の3重構造となっていて バレルは機関部に2本のスクリューのみで固定されています。
2019年春から海外で販売されている新型のクラウンはスーパーライトバレルとなっていて1/2ポンド(227g)軽量化されています、
これはバレルハウジングを省略してSTXバレルライナー + シュラウド の2重構造で バレルは機関部に左右2本 計4本のスクリューのみで固定され、
スコープを外さなくともバレルが交換可能となっています(パーツリストは現時点公開されていません)。
FXクラウンのフリーフローティングバレル : 下の画像を見ての通りシュラウド(バレル)は「きゃしゃ」です、力を掛けると少し動きます。
しかし 実猟で使った感じですが ソフトケースに入れて横置きに車で運搬、車から取り出すときに多少ぶつけた(シュラウドに傷)、藪漕ぎ中に木にぶつけても POIは変わっていません。
私のクラウンの場合 多少ぶつけても 今のところ命中精度にあまり影響無いようです。
(海外ではドリームラインのシュラウドバレルはクラウンより柔らかいという情報が有ります)
一般的にはシュラウドの径が大きいほどシュラウドの剛性が上がります、また シュラウド内径の体積が大きい程 音が小さくなります。
一方 エアーアームズS510にはバレルクランプが有ります、少しだけぶつけても安心できます。
しかし チューブ(シリンダー,タンク)のエアー圧の変動でチューブが変形しシュラウドバレルを多少変形させているハズです、
私のS510はレギュレータが付いていないので10~15発でエアーを充填します、
そのためチューブ(シリンダー、タンク)のエアー変動は20bar程度ですが、
レギュレータ付きの場合 エアー変動幅が広いので シュラウドバレルの変形量が多いと推測されます、
命中精度どうなっているのか? 知りたいです。
いずれにしろ エアーライフルは『割れ物扱い』が基本です、シュラウドバレルには触らない、ぶつけない ことが重要です、
私の場合 銃の保管はシュラウドバレルに負荷がかからないようにスコープがガンロッカーの壁に当たるようにしています。
STXバレルの製造方法は?
『STXバレル』の製造方法は公開されていません、FXの最高秘密になっているようです。
但し 『特注高精度パイプを外部からのみのプレス成形で製造されている』 そうです。
この工程なら 外径旋削、ガンドリル、ガンリーマ、ホーニング等の工程(設備)が不要で 設備償却費を大幅に削減できます。
外部からのプレスのみで『5角ポリゴンプロファイル』を成形するためには
以下私見です:
特殊な設備が必要 ロータリー方向とアキシャル方向が同期でき それぞれの加圧力、加圧速度、ストロークを制御できる特殊なCNCサーボプレスマシンか?。
同時に 成形性確保のため薄くて素地硬度を調整した材料、 高精度(内外径とも)に引き抜きされ 内面がホーニングまたはポリッシング加工された、 高精度パイプ(チューブ)が必要 (日本やドイツで製造可能)。
「STバレル」の製造設備についてはヨウツベの映像が有ります。Smoothtwist making
高精度パイプの先端部のみをプレス成型(スエージングマシン?)して製造。
「STバレル」は基本スムーズボアで先端部50mmほどだけライフリング+チョーク付きとなっていますので このマシンで「STXバレル」を製造するのは困難と思います。
主要な流れ:成形前に曲がり取りし スエージングマシン?にジグをつけたバレルが直角に取りつくようにして成形、成型後ピンゲージで寸法を確認。
最後に
FX_STXバレルのクラウン6.35mmは1シーズンしか使用していませんが、命中精度については非常に満足しています、不満はレギュレータの性能かな?(気を付けないと実猟時に初弾を外す場合が有り)。
尚 STXバレルライナーには いろいろな種類が有り 口径・長さが同じなら交換は簡単にできますが、交換する際には 事前に生活安全課の銃担当官と相談してから実施願います。
おまけ: 以下狩猟の無修正画像がありますので注意願います。
2020年の正月休み最終日 雪の無い農道を歩いて ため池に向っていたら 目測50m弱 先の畑の中にキジがいました、
慌ててソフトガンケースからクラウン6.35mmを取り出して 畑の中からバイポッド無しのニーリングで射撃、
後から距離を測定すると43m、ネックに命中していました。
画像手前側が草むらそして山となっています。
2019年猟期の鳥撃ち最終日 アオクビ、カルいません、 最近狙っていない コガモが100m以上先に居ましたので
距離を測定すると125m、6.35mmのクラウンで撃つのは少し悩みましたが 最後なのでバイポッド+ニーリング射撃したら中たりました、
ボディに命中 回収に苦労した割に食うところ無いな。
回収に向う途中で撮影。
上記は いずれも射撃の1~2h程度前に空撃ちを実施しています(プリナム内のエアーとレギュレーター安定化のため)、
使用している 鳥撃ち用ペレットは6.35mm JSB_EXACT_KING 25.4grで弾速は920fps(280mps)でPOIを計算しています(夏の弾速は940fps(287mps)でした)、
止めさし用ペレットは6.35mm H&N_HORNET 24.4gr(この表示より軽いみたい?)で弾速は970fps(296mps)でPOIを計算。
2019年度猟期 6.35mmクラウンでの獲物は いずれも半矢は無く6.35mmの威力を実感できました。
また5.5mmのS510に比べ 6.35mmのクラウンは射撃時のリコイルが大きくて銃が少し暴れる感じがしますが 銃に慣れたら75~125mでも外すことは無くなりました。
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