今回は 渓流・源流釣り での 餌釣り や フライフィッシングのルースニングに使用するオモリ(ガン玉・割ビシ)についてで備忘録を兼ねています。
オモリの種類は非常に多いですが、渓流釣りに使用されるオモリは 基本ハリス上に装着するため 確実かつハリスを傷めない固定、着脱容易化の制約が有ります。
私は 餌釣り時 オモリを変更しないことは有りません。
特に山女魚狙いの場合 オモリの重さ、ハリに対する位置を変え無いことは皆無です、 岩魚狙いの場合は 山女魚狙いほどでは有りませんが ポイントによってオモリの重さを変更します。
現在 国内で使用されているオモリは 鉛を使用されている物が多いですが、 鉛オモリは人体や環境に有害なため アメリカ、ヨーロッパ(数年後に全面禁止)等と同様に使用禁止になっていくと考えられます。
すでに 国内でも一部の乗合船では鉛オモリの使用を禁止しています。
(銃弾についても同様で北海道等一部の地域では鉛弾(散弾・ライフル銃弾・スラッグ弾)の使用が禁止されています)
このため 鉛以外の環境に優しい 鉛フリーオモリの 錫(スズ)製のガン玉、タングステン_ネイルシンカーをハリスの装着する方法、
及び ガン玉・割ビシをハリスに確実かつハリスを傷めずに安価に固定する方法も合わせて紹介します。
一般的なオモリ
規格と重さ
一般的なオモリは __号で表します。
1号=1匁(もんめ)=3.75g
海釣りをメインにやっている方なら ご存じと思います、
2号なら3.75✕2(号)=7.50g、0.5号なら=3.75✕0.5(号)=1.88g となっていて簡単に重量を計算できます。
おもりの号数と重さ(g)、オンスとg について下表に示します、
1オンス=28.35gで オンス表示のオモリは一般的に分数で表示します。
オモリの材料
鉛の特長
現時点 オモリと言えば鉛ですが
今後 使用禁止になっていくのは間違い有りません。
鉛(なまり):元素記号=Pb 比重=11.34g/cm3
特長:
人体・環境に悪いが 安価・比重が高い・軟らかい(成型性が良い)・融点が低い
鉛合金化してオモリとして使用されています、
鉛は軟らかい純鉛(99.9%)オモリとして使用されているが アンチモニーを3~13%添加すると硬鉛オモリとなる(硬鉛オモリはアンチモニー10%程度添加のものが多い⇒比重が下がる)
⇒実際の比重は11.3→10.5前後
鉛の軟らかく成型し易いので オモリに割れ目が有り それを閉じたり開いたりすることが必要な ガン玉や割ビシに最適な材料。
鉛フリー材料の特長
環境対応として
鉛を全く含まない非鉛オモリ、鉛フリーオモリが販売されています。今後 これらの材料がオモリの主役になるのは 間違い有りません。
海外の先進国ではこれらのオモリが常識。
何れも鉄を除いて鉛より価格が高い。
タングステンを除いて鉛より比重が低い⇒オモリのサイズが大きくなる。
錫(すず)、ビスマスを除いて硬くて成型性の悪い材料が多い⇒ガン玉・割ビシに出来ない。
アンチモニー: 元素記号=Sb 比重=6.69g/cm3
錫(すず): 元素記号=Sn 比重=7.64g/cm3
タングステン:元素記号=W 比重=19.25g/cm3
ビスマス :元素記号=Bi 比重=9.78g/cm3
亜鉛(あえん):元素記号=Zn 比重=7.14g/cm3
銅(どう):元素記号=Cu 比重=8.94g/cm3
アルミ : 元素記号=Al 比重=2.70g/cm3
鉄(てつ):元素記号=Fe 比重=7.87g/cm3
これらの材料も鉛と同様に合金化してオモリとして使用されています
一般的なオモリに使用
すでに下記材料のオモリはいろいろな物が販売されています。
⇒渓流に使えそうな物(何れも1g以上ある物ばかりですが)を紹介します
・タングステン製オモリも銅、(ニッケル、鉄)の焼結合金⇒実際の比重は19.3→18前後
⇒ネイルシンカー(各社有、使用方法は後述します) 、ダイワのアジングシンカー
・亜鉛製オモリは錫、アルミとの合金⇒実際の比重は7.1→6.5前後
・ステンレス(SUS)製オモリは鉄、クロム、ニッケルの合金⇒比重は7.9前後(鉄よりほんの少し重い)
・ブラス(真鍮、黄銅)製オモリは銅と亜鉛(20~40%)の合金⇒比重は8.4前後
錆びやすい
・鉄製オモリも純鉄ではなく炭素・シリコン・マンガン等が含まれています⇒比重は7.85
錆びやすい
・鉄は鉄でも鋳鉄製(いもの)オモリの比重は7.2
錆びやすい
ガン玉・割ビシ用として使用
鉛と同様に変形させやすい材料
・錫(すず)製オモリは一般的に錫、亜鉛、(ビスマス)の合金⇒実際の比重は7.6→?(未公開)
硬いオモリ材料を粘土(パテ)に埋め込んで使用
タングステン粘土オモリ(パテ_オモリ)というものが有ります
これはタングステン合金粉末を粘土(パテ)に混ぜ込んでいるオモリで フライフィシングやカープフィッシング(鯉釣り)をやる方が良く使われています(私も以前はフライで使っていました)。
粘土状なので形はいろいろできますが 確実にラインに装着するには丸では無く楕円形状にして(割ビシ形状)ラインとの接触面積を増やして付けるのが外れにくいです、重さを増やす場合は大きくするのでは無く 小さな形状で数を増やすことです。
最大の利点はライン(ハリス)を変形させずに装着できる点と重さを自由に変えることができることです。
またこのオモリは粘土状で気温が低いと硬くなり取り付けにくくなります、逆に言うと低い水温だと硬くなって取れにくくなります。
各社から販売されていますが、 安物のタングステン粘土オモリはタングステン粉末では無く他金属?の粉末を使ったニセ物もあるようです。
オモリの硬さについて
ガン玉や割ビシはオモリの割れ目(オモリの中心部)にラインを置いて割れ目を閉じて(変形させて)ラインを固定するので、
これらに使う材料は軟らかくて変形しやすい物が使用されています。
ガン玉、割ビシに関しては軟らかいと着脱は容易ですが 投入時に固定位置が動いたり 外れたりする ことが有ります、
このため 軟らかいタイプ、硬いタイプ 等の硬さを変えたタイプも販売されています。
前述のように鉛オモリの場合はアンチモニー含有量で硬さを調整。
一方 一般的なオモリについては 軟らかい物から硬い物まで有ります。
軟らかいオモリは根に食い込んでしまうので 硬いオモリの方が根掛りしにくい とか 落下や根掛り等で変形しやすい軟らかいオモリは沈下中に動きが変わる(海釣り) と言われています。
鉄やタングステン製のオモリは鉛製よりかなり硬くて根掛りし難いオモリと言えます。
渓流釣りで使うサイズのオモリだと 根掛りは 硬さの影響より サイズの影響の方が圧倒的に大きいと思います。
ただ 大きい(重い)サイズのオモリは硬い物をオススメします。
取り付け外しにはプライヤーを使う。
ガン玉と割ビシ
主なメーカ、重さの情報源
・YAMAWA :ヤマワ産業 ホームページ : デジタルカタログ : P-4 に 重さ・サイズが表示
・FUJIWARA :フジワラ ホームページ :製品紹介–製品別–ガン玉 : パッケージに重さが表示
・第一精工「王様印」:DAIICHISEIKO ホームページ :製品情報–オモリ–ガン玉・割ビシ : オモリ毎に重さが表示
・関門工業「釣上手」 : ホームページが表示出来ない : パッケージに重さが表示
(割ビシはパッケージに有る「浮き目安表」同社のガン玉相当とした)
・YO-ZURI : デュエル ホームページ : 製品情報–ウキ/小物–【HP】ガン玉 : 重さが表示
・TAKATA「釣れルンです」 : タカタ ホームページ : 粒ぞろい・ガン玉一覧 : 重さの表示はホームページ及びパッケージとも無い
ガン玉と割ビシ比較
名称
ガン玉・割ビシの総称として「カミツブシ」とも呼ばれています、 以下 呼び名はいろいろ有ります。
注)これらのオモリを装着するときは プライヤーを使って下さい、噛んで装着は危険です。
ガン玉:ジンタン、シズ、ラウンド(タイプ)シンカー、ラウンドスプリットショット(シンカー)
割ビシ:割シズ、オーバル(タイプ)シンカー
0.5号~6号 程度の大型のガン玉、割ビシで 「鮎玉」 と呼ばれているオモリも有ります。
メーカ別の比較表
メーカによって重さは異なります、また 同じメーカでも同じロット内 ロット間でもバラツキが有ります、
例えばガン玉の2Bと言ってもメーカが変われば1Bもあれば3Bも有ります。
また 私の実測データでは割ビシの方がガン玉より重量のバラツキが大きかったです(N数少ないですが)。
このため特に浮きを使う釣法の場合 オモリの重量調整は非常に重要なのでメーカを統一することをオススメします。
渓流釣りの場合は脈釣りのため浮きは使用しません(釣堀は浮きを使っていますが)ので あえてメーカを統一する必要な無いと思いますが、
自分の釣法、タックル(ハリス・竿)、対象魚、釣り場所・状況によって オモリを調整すれば良いです。
ガン玉と割ビシの使い分け
同じ重量なら割ビシの方がラインに接触している面積が大きいので「ズレにくい」のが最大のメリットです。
一般的に割ビシの方が根掛かりしにくい(細長い形状のため)と言われていますが 脈釣りでは 私の場合 多少し難いかな という程度の差しか感じません。
ただ ゴリ(カジカ)の穴釣りでは 割ビシの方が細いので根掛りし難い(2Bと中の比較、ハリスが5~10cmと短い) と思います。
また オモリの水流に対する角度に寄りますが 同じ重さなら水流抵抗が少ない(軸方向の断面積が小さい、鮎玉に楕円形状があるのもこのためか)。
私は渓流釣りを始めた当初は割ビシを使っていました、今は種類の多いガン玉をメインに使っています、
昔は今ほどガン玉が販売されていなかったのと 釣りの師匠2人とも割ビシを使用していたので、
現在は6Bの代わりに特大の割ビシを使うくらいです(大きく重いオモリはズレやすいため)。
ガン玉と一般的なオモリの比較
メーカ別のガン玉の重さと一般的なオモリの比較表
注意する点としてはガン玉の1号(G1)~8号(G8)は数値が大きくなるほど小さく軽くなることが一般的なオモリと異なる
ガン玉の由来
参考情報です、
ガン玉の由来はその名のとおり ガン=GUN 、散弾に割目を入れてオモリとして使ったのが始まりです、
国内で使用される散弾の規格(JIS)は下表です、散弾は重さでは無く散弾の径で規格が決まっています。
散弾の名称(号)が大きくなるに従って散弾径が小さくなります(弾数は増えます)
⇒ガン玉の1号(G1)~8号(G8)がこの規格の影響を受けているため 一般的なオモリと異なり 数値が大きくなるに従って小さく軽くなります。
(YAMAWAはカタログで重さだけでなくサイズも公表しています)
渓流用オモリの必要要素
必要要素
渓流釣り用オモリに対して
・ハリスをキズ付け難い (細いハリス程注意が必要)
・オモリ位置は振り込みでズレない
・オモリ位置を簡単に変更できる
・形状が出来るだけ小さくて重い(比重の大きい材料、根掛り防止)
・鉛フリー材料使用(環境対応のため)
対策
色々調べましたが結局のところ「ガン玉・割ビシ形状、鉛フリー、ラインをキズ付けずに装着でき、取外が容易な物」しか有りません。
ゴム等のクッション材を介して使用
・ゴム張りのガン玉、割ビシ、鮎玉
⇒YAMAWA製のゴム張りガン玉・割ビシは品質が良くて定番製品です(軟らかい鉛製・硬い鉛製の2種類有)、但し価格が高いのがネック、鉛フリータイプを是非とも販売してほしい と思っています。
「取り付け易く・オモリの真ん中にラインが取り付く・取り外し易いように切り込み有、ゴム幅がほんの少しオモリ径より大きくてラインにダメージを与えにくい」
・ゴムーコーティングしたガン玉
⇒ゴムを割れ目部分だけでなく全体にコーティングしたものです、私オススメするのは FUJIWARAの「NUEVO」錫(すず)合金製ゴムコートガン玉です。
上記の渓流オモリの必要要素を満足するのは 現時点 この製品しか無いようです、このため 私が新規購入しているオモリはこれだけです(まだ鉛製オモリの在庫が有るので徐々に切替え中ですが)。
このオモリの欠点は価格が高いことと 比重の関係でサイズが少し大きいこと(根掛りし易くなる)。
ラインをキズ付けずに装着する方法
現状 鉛製オモリの在庫が有るので在庫処分のため とか 鉛フリーオモリが高いので購入できない 人向けです
・「ティッシュペーパー」を事前にハリスに付けてからガン玉を装着
昔から有る方法です、少しティシュを湿らせるとやりやすい。
・「自己融着テープ」を事前にハリスにつけてからガン玉を装着
自己融着テープは伸ばしてからこのテープ同士を巻き付けると くっ付く性質のテープです。
このテープを伸ばしてからハリスにくっ付くけてからガン玉を装着し 余分のテープを取る(ゴミとしないように)
・「編み込み」をハリスに付けてその上にガン玉を装着
各社の鮎釣り仕掛け や ダイワから「オモリガードジョインター」として販売されています、
編み込みを自作することも可能です へら鮒釣りで浮き止めによく使っています。
・軟らかいチューブをハリスに事前に挿入してその上にガン玉を装着
内径0.2mmのウレタンチューブ(パイプ)、もしくは内径0.5mm(外径1mm)シリコンチューブ(パイプ)を事前にハリスに通しておいてからガン玉を装着する。
私は軟らかくてガン玉が良く止るシリコンチューブをオススメします、このチューブ安い物だと数十円/mで販売されています。
小さなガン玉の装着は無理ですが 通常使用のガン玉なら問題なく装着できます、但し 少しオモリの中心からズレて装着されるのと事前にガン玉の割れ目を開いておく必要が有ります。
この方法は私が大オモリを使った釣法時に通常使用している方法です。
・ゴム張り、ゴムコートガン玉を自作する方法
「ゴム張りガン玉自作」で検索してみて下さい いろいろ有ります。
①薄いゴムシート(0.3~0.5mm)やビニールテープを瞬間接着剤で割れ目に固定し 余分を爪切りでカット。
②細長く切った自己融着テープを伸ばしてから割れ目に入れて反対側でテープ同士をくっ付ける。
③ゴム塗料をガン玉の割れ目に塗布する、ゴム塗料はユタカメイクの「液体ゴムBE1-5ブラック」等々。
私も薄いゴムシートを使って自作したことが有りますが 手間とできたゴム張りガン玉の品質があまり良くなかったので 結局ヤマワ製に戻りました。
ネイルシンカーを装着する方法
ネイルシンカーはワームの先端部に挿入して使う釘状のオモリです、鉛製、タングステン製が有ります、今回 中国製の安いタングステン製ネイルシンカーを山女魚狙いの通し仕掛のオモリとして使用してみました。
「渓流用目印の止め方と同じで2重の輪っかにネイルシンカーを通して固定し」 かつ 自己融着テープで巻いてハリスと並行して付けるだけです。今回使用したのは1/32オンス(0.9g 3B相当)のものです。
使っていると自己融着テープが外れてきたので(底石等で擦れた) 後から巻き直しました。
尚 自己融着テープは事前に細く切って紙に挟んでおきます(テープ同士がくっ付くかないように)。
この仕掛で底波になじませて
本日 このサイズ(27cm)ばかり 表紙の2匹と合わせて3匹目
最後に
渓流釣り(餌釣り)でオモリは非常に重要です、
繰り返しになりますが 自分の釣法、タックル(ハリス・竿)、対象魚、釣り場所・状況によって オモリを選択し 状況に応じてまず最初に変更することは①振り込み・流し方を変えてみる その次に②オモリです。
特に山女魚狙いの仕掛の場合 ハリスの太さ、ハリスの長さ、オモリ位置、オモリサイズをどのように選択するのかが 最も重要です。
渓流釣りは 「根掛りとの戦い」でも有ります、小さいオモリの方が根掛りは減りますが 釣法・場所・状況によっては 大オモリにせざるを得ません、オモリを小さくできる 比重の大きいタングステンオモリの使用を拡大していくのがベターと思います(環境対応も考慮して)。
タングステンオモリをメインオモリとして 錫製のガン玉 もしくはタングステン粘土オモリで微調整 という形に落ち着くのでは?。
ダイワのタングステン_アジングシンカーのバリエーション増やして欲しい(もっと軽いもの、黒色の物、ストッパは特に無くてもよい⇒目印結び+自己融着テープ)と思います。
(ダイワのホームページより)
鉛オモリの規制は現在 ヨーロッパもアメリカも一部だけですが ヨーロッパ(EU)が全面規制を最初に実施するようです、日本も同様になるのは時間の問題です、
今のうちから少しずつでも良いので鉛フリーオモリにシフトしていくべき と思います。
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