
昨今の熊被害のニュースは「マスコミが視聴率稼ぎで過度に誇張して報道している」と思っていますが、当地石川県でも間違いなく熊の個体数が増加 それに伴って熊による被害も増加しているのは事実です。
山岳渓流釣りが趣味の還暦過ぎ(正確には70前)で 余命いくばくも無いかもしれないジジイの私ですが、3月1日の渓流釣りの解禁前に 熊撃退スプレー(以下ベアスプレーとします)を購入しました、
購入するにあたり 北米(アメリカ・カナダ)の状況(国立公園でレンタルされているベアスプレー、ベアスプレーの性能基準&使用方法)を調べましたので ベアスプレーの購入を検討されている人は参考にしてください。
↓ 今回 私が購入したベアスプレー (緑色の毛糸は簡易風向計として使うために付けています)

(最初の画像:米国国立公園局(NPS)のwebsiteより引用:Staying Safe in Bear Country: Bear Spray & Firearms (U.S. National Park Service))
北米でのトップ3ブランド
最初に結論から 理由は後述します。
北米で ベアスプレーの市場シエア及び信頼性においてのトップ3は以下のブランドです。
各メーカのサイト、国内代理店サイトも紹介します(リンクしています)。
1.カウンターアソールト:Counter Assault
フィーチャー:ベアスプレーの元祖、高い信頼性、研究論文多い、噴射距離が最大級。
代理店:MSR等のアウトドア用品を扱っている モチヅキ

2.セイバー フロンティアーズマン : SABRE Frontiersman
フィーチャー:ベアスプレー北米のシェアーno1、噴射力の強さが高評価。
代理店:モンベル

モンベル作成の SABRE のサイト、 銃商社で有名なトウキョウジュウホウでも扱っています。
モンベルはこのセイバーベアスプレーのレンタルもやっています。
デポジット(保証金)12000円、レンタル料は3日まで2500円、受け取り・返却はモンベルショップ。
山に行く頻度が少ない人や移動に飛行機を使う人(ベアスプレーは飛行機に持ち込み不可)にはレンタルが良いと思います。
さすが モンベル 北米の情報を入手してキチント対応していますね!
モンベルおじさん(正確にはおじいさん)でもある私が 今回ベアスプレーを購入する際に 最も悩んだのが この製品でした。
3. UDAP (ユーダップ)ペッパーパワー :UDAP Pepper Power (Griz Guardも同じ)
フィーチャー:グリズリーの襲撃生存者が設立、モンタナ州(イエローストーン国立公園の一部が含まれる)のベアスプレーでは古参、使いやすさと拡散性が高評価。
代理店:熊対策グッズ専門店@Authorized UDAP Dealer(UDAP認定輸入代理店)

モンベルおじいさんである私はモンベルを裏切って こちらの製品(7.9オンス+樹脂製ホルスター付)をamazonから購入しました。現時点上記3ブランドの内この製品が国内で最も安価。
尚 北米第4位はMace / Guard Alaskaで「対グリズリー性能のスペックが上位3社に対して劣る」ため レンタルでは使用されていません。(Maceは対人用では有名な会社です)
国立公園でのレンタル・レンジャー推奨(例)
国立公園は国が安全責任を負うため、公園を管理している側が安全性や信頼性を確認したベアスプレーだけを採用している、しかし公的機関のため基本的に会社名は書かない。
⇒ 事実上推奨しているベアスプレーのブランド を記載します
尚 ベアスプレーのレンタル料は2日で16$程度(日数によって変わる)、デポジットは60$程度です。
アメリカ
イエローストーン国立公園
・国立公園局(NPS)も推奨しているのが 「Bear Aware」 というベアスプレーのレンタルサービスです。

⇒UDAP(ユーダップ)
・ベアスプレーレンタル店: TrailQuipt
Affordable Bear Spray Rentals | Yellowstone National Park
⇒セイバー
・公式のレンジャーガイドラインに記載されているベアスプレーは
Yellowstone Safety Guide with Official Ranger Guidelines
⇒カウンターアソールト
デナリ国立公園(アラスカ州)
・ベアスプレーレンタル店: Alaska Bear Spray Rental
⇒UDAP(ユーダップ)
カナダ
バンフ国立公園
・ベアスプレーレンタル店:Ultimate Sports Banff
Ultimate Sports Banff – Rental and Retail Shop in Banff, Alberta
⇒セーバー
ベアスプレーの性能基準・注意点
ベアスプレーの性能基準について
国内では正しい情報が少ないと思います。北米ではベアスプレーは「農薬(動物忌避剤)のカテゴリとしてのEPA登録が必要」として規制されており、
EPA(米国環境保護局)に登録がないものは「熊用」として販売できません、現時点 北米ではEPAに登録されているベアスプレーは10以上有ります。
EPA登録は農薬(動物忌避剤)として適切に管理されている証明であって性能は保証していない。
⇒ベアスプレーはEPA登録制度の対象であり、登録に伴う安全性評価・ラベル表示(使用方法・注意事項)の審査のみ
(EPA準拠のベアスプレーはあり得ない)
ベアスプレーの性能の規格は有りませんが、米国の公的機関が決めたグリズリーに対する推奨基準は有ります。
米国森林局(USFS) 米国国立公園局(NPS)等が連携して活動している、
「インターエイジェンシー(関係機関連携)グリズリー委員会(IGBC)」という機関が
ベアスプレーに関する推奨性能基準を公表しています。(カナダもこれに準拠しています)
Interagency Grizzly Bear Committee (IGBC) Bear Spray Guidelines (2017)

内容は
IGBCは特定の市販のベアスプレーを推奨または支持するものではありません。
明確に「熊の攻撃を阻止するため」と表示された製品を購入すること
(対人用は使用不可)
• スプレーの濃度はカプサイシン及び関連カプサイシノイドが1.0~2.0%であること
• スプレーの正味重量は少なくとも225グラム(7.9オンス)であること
(レンタルは9.2オンス等の大容量品としている国立公園も有り)
• スプレーは唐辛子油由来であること
• 噴射パターンは散弾銃のような雲状であること
(熊の顔に噴射するのではなく熊の進行ルートに噴霧雲を作るのが原則のため)
• 最低射程距離は7.6メートル(25フィート)以上であること
• 噴射持続時間は6秒以上であること
• 米国環境保護庁(EPA)に登録されていること
前提条件としてこの推奨基準はグリズリーを対象にしていることです、日本国内では北海道に生息する同類のヒグマ(♂:200~550kg)です、
本州のツキノワグマ(♂:50~150kg)はヒグマより小型なので 少し余裕があるかもしれません。
北海道内で使用するなら上記性能基準を満足する製品がマストです。
ベアスプレーの注意点
ベアスプレーの使用上の注意点としては
・性能を保証できる有効期間が有ります、一般的に製造から3年から5年で キャニスターに表示されています。
米国製ならEXP.(Expiration date)等で使用可能期限(月/西暦)が 明示されています、尚 月は数字表示もしくは英語表示です。
私が2026年2月に購入した UDAP 7.9オンス品 ⇒ 有効日は2030年12月 (有効期間が4年10か月有り 購入のタイミングが良かった)

これは内容物の劣化もありますが、それより先にガスが微妙にモレることで内圧が低下して噴射能力が落ちるのためです。
このため 購入したら有効日を確認すると同時にモレや残量確認のため重さを測って記録しておくことです。
⇒ 私が購入したUDAPの7.9オンス品のキャニスターの実測重量が314g
・低温時 噴射能力が低下する。
・フィールドでセーフティクリップを無くさないようにゴム紐を付けておく、尚UDAP(ユーダップ)製は最初から付いています。

・50℃を超える高温の場所(夏の車内、直射日光)に放置しないこと
・ベアスプレー液は非常に危険なため 万一モレた場合に備えて保管は密閉容器に入れる。
⇒私はジップロックLの袋に入れて さらにタッパーに入れて立てて(噴射バルブの詰まり防止)保管しています。

・内容物が残った状態でそのまま廃棄しないこと。
⇒モンベルが処分方法を公開している動画:「セイバーフロンティアーズマン ベアスプレー処分方法」
・飛行機に持ち込むことはできません(機内持込・受託禁止)
・ベアアスプレーメーカによっては セーフティクリップをナイロンバンドで固定しているものがあるので切断しておく
・通販サイトでの購入は偽物に注意、
ただし 届いたベアスプレーの缶のラベル色が通販サイトと異なる場合が有っても 各製造メーカのサイトを見て確認してください、同じメーカでも白、赤、黒等有ります、またOEM生産品の場合も有ります。
⇒私が購入したもの 「MADE IN USA」 となっています。

ベアスプレーの使い方
1.ベアスプレーはホルスターから素早く抜ける状態で携行
⇒バックパックの中に入れない
2.熊に遭遇しても ベアスプレーを使わないのが基本
⇒ホルスターからキャニスターを取り出すが下記を遵守
・自分自身は走らない
・熊から目を離さない
・熊に背を向けない
・ゆっくり後退
ここでは噴射しないこと、熊の多くはここで去ります。
熊の威嚇行動の段階:
遠距離で発見
⇒立ち上がる・臭いを確認
⇒近づく
⇒偽突進(ブラフチャージ:途中で止まる)
⇒本突進(最大50km/h⇒14m/s)
3.熊との距離が20m程度になったら
⇒左手でキャニスターの下側を持って 右手てセーフティクリップを外し
人差し指をフィンガーホールに入れてグリップして親指を噴射レバーに軽く置く(右利きの場合)
両手でキャニスターを持つことで噴射時の反動を押さえる
⇒風向きを確認 (私は簡易風向計としてキャニスターに毛糸を付けています)
自分ができるだけ風上になるように 少しでもポジションを移動する、
風向きを考慮した狙い
⇒キャニスターを持った両手を伸ばして腰より上に構える
ここでスプレーするのは間違い(距離が遠すぎ)
4. 熊が突進してきたら噴射する。
熊が出没した場所によって 対応変わります。
第1パターン ⇒ 見通しが良い場所
距離は18~9m 熊の顔では無く 熊の進路の前 やや下向きに2秒程度噴射し噴射の雲の壁をつくる、
熊が噴射の雲を通り抜けるようにする、熊の進路に狙いを定める
第2パターン (第1パターンで効かなかった場合の2回目の噴射も含む)
距離は6~5m 熊の鼻・目・口を狙って やや下向きに2秒程度噴射
本州のツキノワグマの場合は第2パターンが多いのでは と思います。
5. 熊がひるんだら 決して走らず ゆっくり安全な場所に移動する
米国国立公園局(NPS)のサイトより「ベアスプレーの使い方」
参考:簡易風向計
私が釣行する渓流の周りは 風が常に吹いているので、
簡易的な風向計としてキャニスターに毛糸をつけています。

毛糸を固定するために マジックテープで挟んで固定
(何回も付け外しをやっていると毛糸がボロボロになっていくので、今後 糸を変更する予定)

まとめ
北米のベアスプレーの情報を集めて思ったのは、米国ではベアスプレーは単なる「趣味の道具(アウトドア用品のひとつ)」ではなく「制度上の安全装備」であることです。公的機関が 長年に渡っての研究や運用実績によって性能の推奨基準やガイドラインが設定され これに対応できたメーカが3社に絞られていった ようです。
ベアスプレーは今回紹介した上記3ブランド品を使うのを強くオススメします。
米国国立公園局(NPS)のウエブサイトに書いているように 「ベアスプレーと銃は、あなたの道具箱の最後の砦、これらは決して安心感を与えるものではありません。
さらに銃は、熊からの攻撃を阻止するために推奨されるものではありません。」と、銃社会である米国でさえ 熊に襲撃された際 銃よりベアスプレーで対応することを推奨しています。
当たり前のことですが ベアスプレー持っていたからといって 絶対に安全なわけでは無いことを 認識する必要が有ります。
参考:Tom Smith と Stephen Herrero による 2008 年のアラスカにおける研究では
「 72 件のベアスプレー使用事例を分析したところ ベアスプレー使用者の 98% が重傷を負わずに助かった」
日本国内でのベアスプレーについて たくさんの商品が有り どれを選んだらよいのか 情報が少なすぎます。
私は公的機関で推奨する基準や販売の際に性能表示の義務化を決めてほしいと考えています(そのために米国の情報を調べました)。
推奨基準は北海道のヒグマ用 本州のツキノワグマ用問わず 現時点は今回紹介した北米と同等で良いと考えます。
また国内ではヒグマより小型であるツキノワグマ用ベアスプレーは北米基準より多少劣ってもよいという意見も有りますが、
(ツキノワグマ用と称しているベアスプレも販売されています)
私はこれについては 科学的な根拠や性能基準を明確にしてほしい と考えています。
国産業者も頑張って上記の3ブランド品と同等以上の製品を開発してほしい。
今渓流釣りシーズン直前にUDAP(ユーダップ)のベアスプレーを購入した理由は
昨シーズン 私がいつも釣行している複数の場所(石川県内)に 今まで見た経験の無い多くの熊の痕跡が有ったことです、
もちろん 普段以上に爆竹やカネキャップピストルを鳴らして釣行しました。
さすがに今渓流釣りシーズンは何か対策しなければ(特に春先は熊に出会う確率が高いので) と思ったためです、「備えあれば、憂いなし」。
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